一本の軸で生きる──論語に学ぶ“忠恕”の道

「一本の軸で生きる」──論語に学ぶシンプルな道しるべ

🌱 今日の一節

子曰(しのたま)わく、参(しん)よ、吾(わ)が道(みち)は一(いつ)以(もっ)てこれを貫(つらぬ)く。
曾子曰(そうしい)わく、唯(い)。
子出(しい)ず。門人問(もんじんと)うて曰(い)わく、何(なん)の謂(い)いぞや。
曾子曰わく、夫子(ふうし)の道(みち)は忠恕(ちゅうじょ)のみ。里仁第四(一五)

先生がおっしゃった。「参(しん)よ、私はひとつのもので全てを貫いているよ」曾子は「はい」といわれた。
先生が出て行かれると、門人がたずねた「どういう意味でしょうか」曾子はいわれた「先生の道は忠恕のまごころだけです」


「忠恕」ってなに?

古い言葉に聞こえるかもしれませんが、実は今を生きるヒントにもなります。

  • 忠(ちゅう)…自分のまごころに忠実でいること。
    → 自分をごまかさない。誠実でいる。
  • 恕(じょ)…自分がされて嫌なことを人にしない。他人の身になって考えること。
    → 思いやり。自分だったらどう思うか?を想像する。

どちらも、ものすごくシンプルだけど、深くて強い指針です。


どんなときも、ここに立ち返る

人間関係に悩んだとき、
仕事に迷ったとき、
自分の気持ちが分からなくなったとき。

私たちは、すぐに答えを外に探してしまいがちです。

でも孔子は、「自分の中に一本の軸がある」と教えてくれています。

  • 自分にまっすぐでいられるか(忠)
  • 相手の立場を想像できているか(恕)

この2つに立ち返ってみると、驚くほど心が静まります。


忠恕は、努力じゃなく「習慣」

もちろん、「まごころで生きる」「思いやりを持つ」なんて簡単じゃないよ、と思うかもしれません。

でも、これらは完璧を目指すものではなく、日々ちょっとずつ意識するものだと思うのです。

  • 迷いがある時、「本当はどうしたいか」と自分に問う(忠)
  • イライラした時、深呼吸して、相手の立場も考えてみる(恕)

そうやって少しずつ身についていくと、
いつの間にか“生き方の軸”ができている。

孔子の道が「忠恕のみ」と言われるのは、
何よりも「ブレない心」を育てる方法だったのかもしれません。


今、あなたの中にある“一”は何ですか?

私たちは、情報や選択肢があふれる毎日を生きています。
でも、それらに振り回されるたびに、心が疲れていくのも事実です。

そんな時こそ、問いかけてみてください。

「私は、自分にまっすぐだろうか?」
「相手の立場を考えているだろうか?」

この問いは、
自分を取り戻し、円満な人間関係を築くための最もシンプルな道しるべです。


🪶 あとがき

私にとって「一以て之を貫く」は、
“人生の羅針盤”のような存在です。

あなたにとっての「一(軸)」は、何ですか?

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